トウガン

 

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①作物特性

トウガンは暑さに強く生育旺盛な作物です。比較的病気にも強いので栽培は比較的簡単です。つるを伸ばして栽培しますので少し広い面積が必要ですが、ミニトウガンなら立体栽培も可能です。トウガン栽培で最も難しいことは発芽でしょう。通常充分な温度があっても10日位かかりますので、育苗中は注意が必要です。また畑に肥料分が残っている場合や、多めに肥料を施したりすると花が咲いても果実が着かないつるボケとなるので注意しましょう。漢字では「冬瓜」と書きますが、風通しの良い涼しい場所なら冬まで保存できます。

②畑の準備

ウリ科野菜を3~4年作ってない畑を選びましょう。植えつけの約2週間前には1㎡当り堆肥3kgと苦土石灰100gを施し、よく耕しておきます。その後、植え付け前に化成肥料を1㎡当り50g施しうねを立てます。

うね幅90cm、高さは15cm位が最適ですが、排水の悪い畑ではもう少し高いうねを立てるとよいでしょう。マルチを張ると雑草防除と地温確保、土壌水分保持に有効です。

「かわいいとうがん」のようなミニトウガンの場合は株間50cmに、「沖縄とうがん」のような大型品種の場合は株間を1mにします。つるを伸ばす方向を決めてうねを作る必要があり、つるを伸ばす場所としてマルチの端から少なくとも3m位のスペースは確保しておきます。

③タネまき・育苗

直接畑にタネをまくこともできますが、通常ポットにまいて苗を育てます。直径10~12cmのポットに市販の育苗培土をつめ、深さ1.5cm位の深さにタネをまきます。発芽適温は地面の温度で25~30℃ですから、気温が充分でない場合はビニールトンネルなどを使って保温します。なおトウガンは発芽まで10日位かかる作物です。

タネはポットに2~3粒くらいが目安です。土をかけて上から軽くおさえ、最初はしっかり水をやります。苗は日当たりの良い場所で育てましょう。本葉が出たら間引きをして、ポットに1株にします。

育苗中に肥料が切れることの無いように薄めの液体肥料をやると良いでしょう。

④植えつけ

本葉3~4枚の頃に植えつけます。深植えを避けてうね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。

天気がよく、風の弱い日に植え付け、その後しっかりと水をやりましょう。植えつけた後、遅霜の恐れがあるときはホットキャップなどを利用します。

⑤整枝管理

最初に伸びてきたつるを5~6枚目で芯を摘みます。

脇から出るつる(子づる)を数本伸ばします。

つるを伸ばしたい方向に向けてやり、マルチから出る前にわらなどを敷いておきましょう。子づるの8節目までに咲いた雌花は大きくなりません。またそのままにしておくと株全体も弱るので早目に摘み取ります。

⑥人工交配

雌花は適当な間隔で咲きますから人工交配はしなくても自然と果実は着きます。ただし早播きなどで気温が低い時期に花が咲くようなら蜂などの昆虫の働きが悪いので果実を確実に成らせるために人工交配を行います。

トウガンの雌花

トウガンの雄花

⑦その他管理

1番目の果実が着果したら1株あたり化成肥料50gをつる先に追肥します。梅雨明け時など日差しが強い場合、果実の上に新聞紙などを載せて日よけにします。生育初期にはアブラムシが、果実が成りだす頃からはうどんこ病が発生しやすくなります。農薬などを適切に使って防除することが大事です。

1番目の果実が着果した後はつるの発生も弱まるので、それ以降発生する孫づるは摘除せずそのままにします。

⑧収穫

花が咲いてから25日頃から収穫することができます。保存する場合は40日以上置いて、果実表面のうぶ毛が落ちた完熟果実を収穫します。