エンドウ

 

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①作物特性

冷涼な気候を好み、耐寒性が強いので秋まきして越冬させ翌春に収穫するという栽培が一般的です。しかし、積雪地帯や寒冷地では春まき栽培が行われています。ただし気温が高くなり25℃を超えると莢の着生が低下して、生育も悪くなります。高温期での栽培は避けてください。

エンドウには「つるなし」と「つるあり」の2種類があります。つるあり種は草丈が2m以上になりますから、ネットなどを利用しての栽培になります。

つるなし種は草丈が約80cmと低く、短い支柱で栽培できます。またプランターでも栽培できます。

②畑の準備

エンドウは同じ畑に連続して栽培する「連作」を行うと、生育が不良になって収量が減少する「連作障害」を起こしやすい作物です。エンドウや他のマメ類を3~4年間栽培したことのない畑を準備します。

またエンドウは酸性土壌では生育が劣ります。植えつけの約2週間前には必ず1㎡当り堆肥2kgと苦土石灰120gを施します。その後植え付け前に、化成肥料を1㎡当り50g施します。

根が深く張るので、できるだけ地中深くまで耕します。

③タネまき:畑に直接タネをまく場合

タネは約2cmの深さで、1ヶ所に3~4粒ずつまきます。

鳥の食害を防ぐためにテグスや防鳥テープなどを畑の周囲やタネをまいた近くへ設置します。

本葉2~3枚の頃から生育のよい株を1~2本残して間引きます。

④タネまき~植えつけ;苗を育てて植えつける場合

直径9cm程度のポットに市販の育苗培土をつめ、深さ2cm位にタネをまきます。タネは1ポット当たり数粒ずつそれぞれ離してまき、土をかけて上から軽くおさえます。陽当たりの良い場所におき、防虫ネットなどをかけて鳥避けにすると良いでしょう。本葉2~3枚の頃から生育のよい株を1本残して間引きます。

約20日間育てた本葉3~4枚の苗が植えつけ適期です。

ポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢の土をくずさないように注意して苗を植えつけます。植えつけた後はしっかりと水をやりましょう。

⑤越冬方法

適期にたねまきして順調に生育した株でも、直接に霜にあうと植物体が傷んでしまい、欠株が発生します。以下の冬越し対策をおすすめします。

落ち葉やワラを株のまわりに敷いて霜よけをします。特に地際部の茎を寒さから守るように敷きます。株元周辺に土寄せするだけでも欠株は少なくなります。

うねの風上の肩部のところに20cm位の高さの土盛りをします。盛り土が風よけになります。

トンネル支柱に白の寒冷紗をかけて直接の霜をよけます。この方法が最も効果があります。

⑥誘引管理

本葉が5~6枚になってつるが伸長する前に、園芸用の支柱を立ててネットを張ります。つるがネットにからみ、伸びてきたら30~40cm間隔で横にひもやビニールテープを張って植物体をゆるやかに囲み、つるが横に広がらないようにします。単に支柱を一定間隔に立てて横に細かくひもやビニールテープを張って誘引する方法もあります。

最初は下の方からすくい上げるように誘引します。

伸びるに従って、上の方に誘引テープを追加していきます。

上になるほどあまりきつく誘引しないのがポイントです。

⑦追肥

追肥は花が咲いて莢が成りだしたころから1㎡あたり化成肥料50gを数回施すのが一般的です。おおよその時期は、

第1回目:春になりつるが伸び始めた頃。
第2回目:花が咲き始めた頃。
第3回目:莢が成り始めた頃。
それ以後は、株の状態を見ながら追肥します。

⑧その他の管理作業

晴天日が続いて土壌が乾燥した場合は株元に積極的にかん水します。開花期以降に土壌が乾燥すると花が流れてしてしまい、収量が減少します。収穫が始まるとうどんこ病が発生しやすくなります。適切に農薬などで防除することで長期間の収穫が楽しめます。

⑨収穫

莢エンドウは花が咲いてから10日程度で、スナップエンドウは14~20日後でそれぞれ収穫できます。

実エンドウは莢の緑がうすくなってきて、表面にしわができてきた頃が収穫適期です。

上の写真の真ん中から右側が収穫適期の莢です。サラダなどに使う場合はやや早めのものを、マメご飯などに用いる場合はやや遅めに収穫すると良いでしょう。

うすいえんどうなど食味の良い品種は、完熟したマメを収穫して楽しめます。充分にかたくなって莢が茶色に変わった頃に収穫して乾かします。

充分に乾いたら叩いて豆を取り出します。

さらに陽に当てて充分乾燥させてから取り込み、保存します。豆ご飯などで楽しめます。