園芸講座❻

雑草は菜園の大敵

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家庭菜園の悩み「雑草」。取っても取っても生えてくる雑草。
この処理が大変なので、野菜作りをためらう方もいらっしゃるのではないでしょうか。除草剤を使用するという方法もありますが、野菜の残留農薬が問題になっている昨今、せめて自分で作る野菜くらいは無農薬で栽培し、安全で安心な食材で食卓を飾りたいものです。そこで今回は、快適な野菜作りに役立つよう、「雑草」にスポットをあててみました。

雑草ってどんな草?

雑草という種類の植物はありません。一口で言えば育てている野菜や草花などの他に勝手に生えてくる植物を総じて雑草といいます。
雑草の特長として(1)生長が早い、(2)再生力が強い、(3)タネをつけるのが早くしかも多量につける などまさに“雑草魂”のような生命力を持っています。またタネも一度に発芽するのでなく土の中でジッと待ち、土が掘り起こされてタネが地表に露出し、光を浴びることによって発芽するという「好光性種子」が多いというのも特長です。
これはもし一斉に発芽した時に大雨などが降ったら全滅してしまい、子孫を残せなくなってしまうからです。
この「好光性」の性質こそが、雑草を取っても取っても生えてくる原因のひとつなのです。

雑草が発生するしくみ

雑草が生えた状態。土の中には無数のタネが眠っている

除草で土が掘り起こされたり雨などで、タネが地表に露出

光を浴びたタネは休眠から目覚め、再び雑草が生える

雑草はどんな環境で発生しやすくなるの?

雑草はどこでも同じものが生える訳ではなく、その土地の気候、土のpH(酸性かアルカリ性か)や水分量などの土壌環境、人の手の加わり具合などで種類が異なってきます。つまり畑の手入れの仕方が異なれば隣同士の畑でも生える雑草が異なってくるのです。
雑草が発生すると、作物に様々な悪影響を与えてしまいます。

1.雑草は一般に生長が早いので、日光がさえぎられてしまい作物の生育が悪くなる。
2.作物に与えた肥料や水分を奪われる。
3.病気や害虫を誘引する。

タネをまくと雑草が生えやすくなる!?

稀に「タネをまいたら雑草が生えた」という話を耳にしますが、これはまいたタネが発芽する前に元々土の中にあった雑草のタネが先に発芽してしまうのが原因です。『まいたタネが発芽温度に満たない』や『土のかけすぎ』など何らかの原因でタネが発芽不良をおこし、雑草だけが発芽してしまう場合もあります。草花などはタネが細かいですから、発芽温度や土かけに特に注意する必要があります。

雑草をなくすにためには?

雑草を完全に根絶して生えなくすることはまず不可能ですし、除草剤は最もかんたんな方法ですができれば使いたくありません。
菜園など畑で野菜を栽培するなら、黒いマルチフィルム(ビニールシート)を利用して雑草の発生を最小限に押さえ、生えてきた雑草はまめに刈るのが最も効率の良い方法でしょう。作物を育てていない場所ではスコップなどでまめに耕したり(小さな耕耘機があれば理想的)、穴のあいていない透明なマルチを全面に張るのも効果的です。マルチフィルムを張る事で地温が上がりすぎて雑草が生育できなくなってしまうからです。

黒マルチフィルムを張ると、光をさえぎり雑草の発生を防止できます。

雨の後など一面に発生した雑草は、ねじりガマ(写真左) を使うと便利。 大きい雑草は地際をカマで切っていく。

また、プランターなどで栽培する際は、とにかくこまめに雑草を除去して野菜に十分な栄養が行き届くようにしてください。野菜作りは雑草との戦い。スッキリとした環境の中で、安全・新鮮でおいしい野菜を育ててください。


雑草が発生するしくみ

キク科
この状態で冬越しし、やがて2m近くまで成長する。タネは風で飛散し、すぐ発芽する。北海道を除く全国に分布。

カタバミ科
地面を這う茎から根をおろし、どんどん増える多年草。実は熟するとはじけてタネを飛ばし増えてゆく。

トクサ科
乾燥気味の畑に発生し、地下茎で一面に広がる。タネではなく胞子で増える。ツクシはその胞子茎。

スベリヒユ科
多肉質の一年草で、地面を這って広がり、30cm以上に生育する。目当たりの良い乾いた畑に多い。

ツユクサ科
高さ20~80cmになる。タネは10cm位ほどの深さかも生え、刈リ取った茎からも発根するので注意。

ナデシコ科
高さ10~30cmになる。1~2年草で、一年中見られるが、特に春に多い。春の七草のひとつ。

イネ科
高さ30~90cmになる一年草。乾いた畑によく生える。7月上旬~9月頃まではびこリ、1m近くまでなる

アカザ科
シロザと共に代表的な大型の一年草雑草。タネの寿命が長いので、タネをつける前に刈リ取ることが大切。

イネ科
高さ30~90cmになる一年草。地面を這う節から根を出し広がってゆく。夏から秋にかけて穂をつける。