道の駅発信の
オリジナル商品

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はじめに

今では全国に広がる道の駅ですが、その中には地元産品を置いた販売コーナーが目玉になっているところがいくつもあります。特に農産物の直売コーナーには、近くの生産者が収穫したばかりの新鮮な野菜が並ぶので、都会から訪れた観光客だけでなく、近くに住む人たちの安定した野菜の購入先にもなっているようです。山口県周南市にある道の駅では、トーホクのかぼちゃのタネ『銀河かぼちゃ』を使って道の駅発信のオリジナル商品を開発して評判になっているというので、今回はその話題です。

道の駅ソレーネ周南

ご紹介するのは道の駅ソレーネ周南(しゅうなん)。周南市は山口県東南部の旧徳山市が中心となって平成の大合併により生まれた人口13万人強のまちで、瀬戸内海に面して積雪もほとんどない温暖な気候の地域です。道の駅は国道2号沿いにあり、また山陽自動車道の戸田ICを降りて約5分の好立地にあります。

普通車125台、大型車43台、合計168台分もの駐車場が整備されており、道の駅の南東を流れる夜市川に面した親水護岸と芝生公園がドライバーの休息だけでなく、小さい子供を連れて家族でも安心して楽しめるようになっています。ちなみに「ソレーネ」とは、山口の方言で「そうだね、そうですね」の意味で、直営店・テナント店の他に一般の個人・団体が利用できる研修室や屋根付き広場もある複合施設です。

産直コーナーには周南全域から集まった新鮮な野菜や果物、特産加工品からスイーツまでが毎日並びます。周南市の特産である、ゴボウ、サトイモ、自然薯などの根物野菜や、果物では梨、ぶどう、地元のお米、わさびなどの農産物が揃い、漁師市場には地元のタコ、アジ、アサリなど、新鮮で多彩な魚介も並んでいます。

銀河かぼちゃの栽培開始

まずはこの地域で銀河カボチャが広まった経緯について説明します。2018年、当社のお取引先である道の駅ソレーネ周南の生産者グループあゆむ会(会員数12名、一人当たりの平均作付面積は37a)から特産物にできる野菜はないのかとのお問い合わせがありました。おすすめ野菜としていくつか品種を説明させて頂いた中で、銀河かぼちゃに興味を持って頂きサンプル提供をさせて頂いたところからスタートしています。

銀河かぼちゃは一般的な黒皮のえびすタイプと異なり、まさに銀白色の果実です。ホクホクとした粉質も強く、たいへん食味の良いおいしい品種です。また貯蔵性が高いのも特長の一つで、陽の当らない風通しの良い場所なら収穫後3カ月は保存が可能です。そして収穫してから日数が経つに従って甘さが増していき、その貯蔵中においしさが際立っていきますから生産者も安心して出荷できます。

栽培した皆さんの感想

銀河かぼちゃを育ててみた生産者の感想は、今までに育てていたかぼちゃ品種と比べ、つる伸びがよく、根の張りも強い印象で、作りやすい品種との評価でした。食味に関しては特にホクホク感が強く、山口県に出回っているかぼちゃとはまた違った味わいがあり、差別化できる美味しさだと確信したと言います。このような銀河かぼちゃの特長を広く知ってもらおうと、実際に店頭で試食ブースを設け、蒸したものと、ポタージュスープを提供し、来場者に体験してもらったところ、銀河かぼちゃの美味しさ、ホクホク感は十分伝わり、今でも着実にリピーターは増えているそうです。

銀河かぼちゃから生まれたオリジナル商品

栽培が始まって数年、生産者の皆さんも銀河かぼちゃの生育特性を熟知してきたこともあり、2022年は特に出来がよく、このような商品があったらいいのではないかという思いから様々なオリジナル商品が生まれました。そのいくつかをご紹介します。

まず銀河かぼちゃをパウダー状にして練り込んだてんぷら『銀河天』。

かぼちゃの甘い風味が美味しく、またかぼちゃ色がよく出ているのでお客様の認知にも役立ち、好評です。今後てんぷらには地元の名産のごぼうも練り込みバージョンアップを計画されているそうです。

生産者一押しは、『銀河チップス』。

想像以上に美味しく仕上がったと言います。サクサクとした食感で自然の甘みが後を引きます。

焼き菓子は『銀河スノーボール』と名付けられました。

銀河という言葉通り、白皮かぼちゃをイメージしたかわいい焼き菓子に仕上がっています。

カステラも好評です。

かぼちゃの香りがしっかりしており、また黄色い果肉の特長が活かされたお茶受けにピッタリといった感じです。健康的なイメージと手軽さからか、銀河かぼちゃの関連では一番売れている商品だそうです。

その他写真はありませんが、銀河かぼちゃを使用したプリンも好評です。また今後は銀河かぼちゃを使ってかりんとうを販売してみたいと計画が上がっています。

最後は原料となっている銀河かぼちゃの果肉をそのまま磨り潰して出来た銀河パウダー(ただしこれは商品ではありません)。

パウンドケーキに練り込むなど使い方はまだまだ広がりそうです。

おわりに

従来西日本では黒皮のえびすタイプが好まれる傾向にありましたが、銀河かぼちゃのように従来にない品種でも一度おいしさが認識されると、今までにない外見その特徴が売り場でも目立ち、差別化につながってお客様の目を引くことにもなり、結果的にお客様はリピーターとなって定着することが実証された例と言えます。ただこの結果は、道の駅のスタッフの並々ならぬ努力もあってのことと想像できます。

副駅長の末益さんによれば、生産者がモチベーション高く出荷しやすい環境づくりを常に心掛けているとのことです。銀河かぼちゃをソレーネ周南に根付かせ、出荷者の意識を高く維持出来るよう、これからもオリジナル商品を道の駅側から提案したいと考えているとのことで、来年もまた頑張って作物を作ってみようという気持ちを忘れずにいれるように工夫されている様子が売り場からも商品からも伝わってきました。

春の栽培を前に定例会に集まった生産者の皆さんと副駅長の末益さん(前列の右から三人目)

2022年は特に銀河かぼちゃの出荷量が多く、せっかく作っていただいた作物を無駄にしない為にも商品開発に尽力されたようですが、この事は生産者にとっても、道の駅にとってもよいサイクルにつながっているようで、道の駅スタッフと生産者の皆さんが一体となった、精力的でひたむきな思いに、私たちタネを扱う営業マンとしても大いに刺激を受けた次第です。今後は冬至用のかぼちゃとしても出荷してみたいと、皆さんの夢は広がっています。
<山口県営業担当S>