ネギ

 

  • 文字サイズ

作物特性

ネギには白根(実は葉鞘部という葉の基部なのですが)を食べる根深ネギ(長ネギ)と、ある程度育てた緑の葉を食べる葉ネギ、葉ネギを若どりする小ネギといった区分があります。用途に合った品種を選びます。いずれも暑さ、寒さ、乾燥にはよく耐えますが、湿害に弱い作物です。最近のゲリラ豪雨の多発など、ネギにとっては厳しい環境となっています。水はけの良い畑を選び、畑の排水対策をしておくことがポイントです。

根深ネギの栽培は長期にわたります。苗作りに時間がかかる上、白根部分を長く伸ばすためには、あらかじめ植え溝を深く掘っておく必要があり、植え込んだ後は定期的な追肥と土寄せ作業が待っています。しかし、一度大きくしておけば長く収穫でき、寒さに耐えた味は格別です。個性豊かな品種も様々あり、味わいの違いも楽しめます。一般的に根深ネギは冬が旬の野菜ですが、トウ立ちの遅い品種や暑さに強い品種を選べば一年を通して栽培が可能です。特にトウ立ちすると食味が落ちますので春に収穫する場合はトウ立ちの遅い品種を選び、肥料を切らさずしっかり土寄せし、寒さから株を守りましょう。

初心者の方は葉ネギや小ネギ栽培がおすすめです。特に小ネギは栽培期間も短く、わずかな場所でも栽培できます。薬味などに重宝する野菜ですので家庭菜園では常に作っておきたい野菜です。

タネまき

植えつける畑とは別に育苗床を準備してタネをまきます。1㎡当たり堆肥3kg、苦土石灰150g、化成肥料100gを施用しよく耕してうねを立てます。

深さ1cm程度のまき溝をつけます。支柱などを使ってまき溝をつけると便利です。

タネを約1cm間隔ですじまきします。まき溝は深くなり過ぎないよう注意します。土をかけて水をやります。水やりはタネが水で流されることのないよう、最初は散水用のジョウロなどでていねいにやります。

発芽までは乾きすぎることの無いように、また過湿にならないよう注意しましょう。ほかの葉菜類と比べて生育がゆっくりと進むため、雑草に負けないように注意して除草します。

苗が伸びすぎて倒れるようなら、葉先をハサミなどで剪葉します。剪葉すると植えつけ時の倒伏防止や苗の太り促進に効果的です。また、根に酸素を送るため、土の表面が硬く締まってきたら条間を軽く中耕します。

セルトレーを使って育苗することもできます。200穴トレーを使う場合は、1穴に2~3粒ずつタネをまきます。セルトレー育苗は乾きやすいので注意して管理します。

育苗中に肥料が切れないよう、水やりの時に定期的に薄い液体肥料を施します。

タネをまいてから45~50日で、植えつけ適期の苗となります。苗が伸びすぎて倒れるようなら、葉先をハサミなどで剪葉します。

畑の準備

長ネギの場合、何度も土寄せして白身を長くするため、土層の深い畑で栽培します。また酸性土壌は生育不良となりますから、あらかじめ苦土石灰を施して耕しておきます。一般的な元肥量は1㎡当たり堆肥3kg、苦土石灰150g、化成肥料100gです。

深さ15cm位の植え溝を掘ります。植え溝の幅は平鍬(ヒラグワ)の幅と同じ15cm位とします。もし2本以上の植え溝を作る場合は90cm以上の間隔をあけます。なお植え溝は南北方向に掘るのが理想的です。

植えつけ

植えつけ適期の苗の大きさは鉛筆程度に太くなった頃です。苗床から引き抜き、植え付け後に勝ち負けが出ないように苗の太さを揃えておきます。

植えつけは、植え溝を南北に切った場合は植え溝の西側に、東西に切った場合は植え溝の北側に、立て掛けるように並べて株元に土をかけます。

株間は3~5cmを目安にし、葉の分岐部分より上が土で隠れないようにします。

その後、植え溝の底に切りワラなどを敷きます。切りわらなどがない場合は落ち葉や刈り取って乾燥させた草などを敷いても良いでしょう。

管理作業(追肥・土寄せ)

うね間の土を株元に盛る「土寄せ」を行い、白身を伸ばしていきます。3~4週間ごとにうね1mあたり化成肥料25gを追肥し、土寄せします。栽培期間中4回程度行います。

この作業は真夏にはネギの根が傷むので行ってはいけません。また葉の分岐部分より上に土がかからないようにします。

追肥は約一ヶ月ごとにネギの株元に行います。その後分岐部分のすぐ下までしっかり土を寄せ、鍬の背で土を押さえるようにします。

追肥と土寄せは栽培期間中通常4回程度行います。

その他の管理

秋まき苗の場合、春にとう立ちしますから、その際はネギ坊主を摘み取ります。その後自然とわき芽が伸びてきます。

収穫

ある程度の大きさになればいつでも収穫できます。必要な分だけ掘り上げて新鮮な風味を味わいましょう。

うねの片側をクワなどで崩します。この時ネギを傷つけないように注意しましょう。

春から初夏にかけて、採り遅れた株からねぎ坊主が出てきます。出てきたばかりのやわらかいねぎ坊主でしたら、食べることができます。

ねぎ坊主が出てくるのはホタルイカの旬の時期ですので合わせてみました。

葉ネギ(九条ネギなど)の栽培のポイントと注意点

長ネギの栽培に準じてタネをまき、苗を育てます。長ネギ同様、苗が鉛筆程度に太くなったら、苗床から引き抜き植えつけます。

水はけが悪ければうねを立て、約25cmの条間、株間10~20cmとし、5cm位の深さの植穴をあけます。

苗は差し込むように植えつけます。活着したら1㎡あたり化成肥料25gの化成肥料を施し軽く土寄せします。

生育が進めば随時収穫出来ます。株を引き抜かないで葉を切り取って利用すれば長い間楽しめます。

干しネギ栽培のポイント

9~10月にやわらかいネギを食べるためには干しネギがお薦めです。ネギは夏の暑い期間は休眠する性質がありますから、その性質を利用します。干しネギ栽培には「九条太ねぎ」や「浅黄九条細ねぎ」など、九条系葉ネギを用います。

秋にタネをまいて通常のネギ同様に春に畑に植えつけ育て7月下旬に掘り上げます。

数株ごとに束ね、雨の当たらない風通しの良い所で乾燥させます。

約1カ月の間に葉は萎れてカラカラになりますが、休眠中で枯れているわけではありません。

8月下旬に枯れた葉を取り除き、長さを20cm位に切り揃えて再び畑に植えつけます。植え付け間隔は15~20cmとします。

植付けから約10日で新しい葉が伸び出してきます。

1カ月も経てばやわらかい葉ねぎが収穫できます。

株元を残して刈り取るように収穫すると、しばらくして新しい葉が出てきて再び収穫できます。

小ネギ栽培の注意点・ポイント

畑で栽培する場合、長ネギの栽培に準じてタネをまきます。元肥は1㎡当たり苦土石灰150g、堆肥3kg、化成肥料100gを施用しよく耕します。15cm間隔でまき溝を作り、約5㎜の深さにタネをすじまきし、土をかけます。

発芽から本葉が伸びるまでは土が乾きすぎないように、また過湿にならないようにていねいに水をやります。その後生育に応じて間引きを行い、最終的に株間を1~2㎝にします。

生育初期から「芽ねぎ」としても収穫できますし、葉の長さが30~40cmが小ネギ収穫に適した大きさです。

株ごと抜いて収穫しても良いですが、地際から2cmほど上で刈り取り収穫すると残った株から新しい葉が再び出てきて、新しい葉をさらに2~3回は収穫することができます。

プランターで栽培する場合は深めのプランターを用いて、市販の培養土を用います。