第1回 夏野菜の作付けノウハウは3つ
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中学1年生の息子が「お父さんは、おじさんだね」と言います。そんなことは百も承知ですが、癪に障るので理由を尋ねました。①バイクに乗っている、②ひとりでキャンプに行く、③釣りをする、そして④畑をやっているから、なんだそうです。確かに畑でも、バイクでキャンプや釣りに行く先々でも若い人にほとんど会いません。「バイクに乗っている人も、キャンプしている人もおじさんばかりでしょ」と息子は断言。確かにそうだよな~。
①から④まで、私のやりたいことはすべて天候に左右されます。だからもう四六時中、天気予報をチェックしつつ、週末の行動をシミュレーションして優先順位を手帳に書き留めてます。よって土日連続で雨に降られると、文字通り天を仰ぎたくなります。毎週木曜日あたりから、週末に向けてソワソワしちゃいますね。そして晴れたなら、限られた時間で効率よく作業をすすめていかねばなりません。
作る野菜、作らない野菜
夏野菜作付けノウハウの1つめは、作る野菜と作らない野菜をはっきりさせること。雑誌や本で取り上げるような野菜は一通り栽培した上で、今では、年間で30~40品目に絞り込んでいます。ここでは夏野菜の例をいくつか示します。
トマトは大玉ではなく、中玉とミニ。トマト栽培では必須とされている雨よけをしなくても必要十分にとれます。裂果は出ますが、とれる数が多いので問題なし。一方、大玉は雨よけをしないと、まともな実になりません。スイカも大玉ではなく、小玉がおすすめ。砂浜でかち割りたいならともかく、冷蔵庫に入るサイズがたくさんとれる小玉が正解です。
豆類なら、長く場所を占めるラッカセイより、栽培期間が短いエダマメを優先しています。ロマン枠(あってもなくてもいい趣味性の強い野菜)として、ネットメロンは何度も挑戦しましたが、ウリハムシにボロボロにされ出来なさ過ぎて止めました。ちなみに奥さんからは「スイカやメロンよりも(料理でよく使う)長ネギやタマネギをもっと作ってほしい」と懇願されております(苦笑)。
じかまきするか、ポットまきするか
ノウハウの2つめは「いつタネまきするのか、どこへタネまきするのか」を見極めること。スペースが限られた畑では、ポットやセルトレーまきによる育苗を組み合わせて、計画的に植えつけましょう。
5~6月にかけてタネをまきたい夏野菜の筆頭はキュウリです。5月に苗を購入して植えたとします。そのキュウリの寿命はがんばっても7月いっぱい。「一番欲しくなる夏の盛りにもう食べられない」という残念な事態を避けるには、5月に植えつけたタイミングで、ポットにタネをまき、本葉2~3枚で移植します。5月植えが終わるころにとれ始め、9月まで収穫期間を延ばせます。キュウリはじめウリ科の野菜は高温を好むので、スイカもカボチャも5月のタネまきがちょうどいいです。
ナスやトマトのタネは小さくて指でつまむのは大変。爪楊枝の先にくっつけて培土に押し込みます
寒い時期だと難しいトマトやナスの育苗も、5月スタートならハードルが下がります。とりわけ『とろとろステーキなす』(トーホク)は、私の大好物。従来のナスとは異なる甘さと食感の虜です。
エダマメは、育苗するとひょろ長くなりがち。実際に3年連続で徒長しました。今は、じかまきして発芽まで鳥よけネットを掛けています。
エダマメの苗は毎度、徒長気味。タネが悪いんではなくて水の与えすぎですね
オクラはじかまき、ポットまきのどちらでもいいですが、畑のスペースが空くのを待つため育苗しています。ゴーヤーは発芽しにくいのでポットまきで育苗するのが確実。6月下旬以降の植えつけでじゅうぶん間に合います。
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「ゴーヤーは発芽しにくい」とよく言われますが、2週間もすれば8割くらい出ます
難しいのはトウモロコシ。何しろ敵が多過ぎます。穂が出来始めて実るまでの間に、アワノメイガの幼虫、カラス、ハクビシンほかの来襲を受け、ほとんど口に入りません。なので、まとまったスペースを割り当てず、隙間にじかまきしています。まあトウモロコシもロマン枠ですね。
実需に見合った数を作る
ノウハウの3つめは、株間を広くゆったりとること。家庭菜園を始めたばかりの人に多いのが、植えすぎ。私の2つ隣の区画に新規で借りられたご夫婦は、「通路にするのはもったいない」とばかりに夏野菜を植えまくって、収拾がつかなくなっていましたね。植えすぎはもったいないばかりか、単位面積あたりでは収量が減る可能性大です。トマトを例にします。一般的な栽培情報では「株間は50~60㎝」となっています。3mの長さの畝なら5本植えられますが、あえて80㎝の間隔をあけて4本にしています。風通しがよくなって病気にもかかりにくく、大きな実がとれます。こまめにわき芽とりできるなら株間50~60㎝でいいですけど、週末菜園なら適当に整枝しても樹形を保てる80㎝が楽です。ナスやキュウリも同じく、4株スペースなら3株、3株スペースなら2株が◎。
植えつけたら2週間は保温しましょう。文房具用品売り場にあった透明ビニールを使ってます
ついでに、食べる人(=家族の人数)と株数についても考えましょう。家族3人の私の場合、トマト3~4、ナス2、キュウリ4(うち2株は遅植え)、ピーマン2で十分。十分どころか職場やご近所はもちろん、行きつけの居酒屋や奥さんが通う美容院、息子が習っている剣道の先生と稽古仲間の父兄にまで配り歩いているほど。週末菜園といえども、夏野菜の収穫最盛期には2日に一度は早起きして畑へ通わねばなりません。お世話をする株の数が減れば、収穫の手間が減ります。
申し遅れましたが、私が借りている畑の広さは60㎡です。畑の広さはまちまちなので「私にはあてはまらないノウハウだわ」という方も多いでしょう。家庭菜園が続くかどうかは、とある調査によれば「2年めと3年めの境目にある」んだそうです。「がんばり過ぎず、実需に見合った栽培の規模を維持していけばいいんだ」と腑に落ちれば、長続きするんじゃないかと思います。
通路を挟んだ対面の区画のお爺様は、55歳のときから借り始めて、今年で20年めだそう。日焼けしたお顔、軽やかな動きに接し、「ああいう爺さんになりたいもんだ」と、畑でお目にかかるのが楽しみです。(2026年5月1日)
夏野菜作付け時の全景です。向かって右側の手前からスイカ、ナス、トマト、ピーマン、キュウリを植え、左側はサツマイモ、エダマメ、オクラ、ゴーヤーを植えるべく黒マルチを張ってスタンバイ
【プロフィール】
東京都心にあるマンションのベランダでミニトマトやルッコラを作るうち、栽培への興味が爆発。子どもが大きくなってきたこともあり、思い切って田園地帯へ移住した。畑のある暮らしに大満足しているが、難点は畑作業に割ける時間が足りないこと。月〜金は1時間20分の道のりを通勤してフルタイムで働き、週末に挽回するスタイルで畑を維持している。バイクに荷物を括りつけ、6〜10月は海釣り、11〜5月はキャンプもしたいので、段取りが命。
現在、借りている市民農園には30組の利用者がおり、第一線を退いて畑仕事に励んでいる様子を見るにつけ「早くあの人たちのようになりたい」と羨ましい。この連載では、畑デビューから10年がたち、今では無農薬・無化学肥料栽培で年に40品目を作るまでになった経験をもとに、勤めと両立するノウハウを中心にお伝えします。失敗談も恥ずかしげもなく披露しますので、どうぞご期待ください。(妻木)
