第2回 夏が長くなった畑のリアル
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夏の畑は過酷、でも畑へ行かねば
サラリーマン週末菜園家にとって、夏は春秋冬とは比べものにならないほど過酷な季節です。私は普段、「惜しげもなく捨てる」をモットーに整理整頓を心がけていますが、自分で育てた野菜だけは別。もったいない気持ちが勝ってしまう──家庭菜園あるあるです。
平日は週3日ほど、朝6時前に起きて畑へ向かいます。トマト、ナス、キュウリ、ピーマンなどを籠いっぱいに収穫し、自転車で5分の帰路でも汗が吹き出すほど。出勤前のシャワーは欠かせません。
着替えた後は、家族3人では食べきれない分を小分けにして、ご近所や職場へ配る準備。あっという間に出勤時間が迫ります。
採れたてのトマトやキュウリにドレッシングをかけてかじり、7時36分発の電車に飛び乗って出勤。日中は仕事に追われ、帰宅が22〜23時になる日も珍しくありません。それでも朝にはまた畑へ向かいます。

7月のある朝、収穫1回分の夏野菜たち。自転車の前籠に大きなバケツごと押し込んで運搬してます
草との戦いは嫌いではない
週末は集中的に草取りです。これは「片付いていないと気が済まない性分」がそのまま出ます。雑多な草が雑然と生い茂る光景がどうしても許せません。畝間や通路は草取り鍬で一気に処理。フェンス際やネギの間など、手作業になる場所はなかなかの重労働です。

草取り用の鍬は全方位に刃が付いていて、押しても引いても使えます。隙間の草も見逃しません
さらに月1〜2回は刈り払い機で共有スペースも整備。「いつもありがとう」と声をかけられると、やらないわけにもいきません(笑)。ただ正直なところ、刈り払い機で草を一気になぎ倒すのはかなり爽快で、良いストレス解消にもなっています。


通路の草刈り、ビフォア(上)&アフター(下)。農閑期の2月に職業訓練所の週末コースで、刈り払い機安全講習を受けてきました
夏野菜の寿命が短くなった
近年、夏が明らかに長く、そして暑くなっています。試しに気象庁のWebサイトにアクセスし、住んでいる地域の気温を調べてみてビックリ。気象庁のデータを見ても、私が畑を借り始めた2019年と2025年では7〜9月の平均最高気温が上昇していました。
7月:26.9℃ → 33.5℃
8月:32.1℃ → 34.3℃
9月:28.6℃ → 31.0℃
とくに7月と9月は、かつての「夏前」「残暑」という感覚ではなく、もはや完全に真夏でしょう。夏が長くなっているのは客観的な事実です。
その影響か、キュウリやトマトは株が早くダメになるようになりました。キュウリは7月下旬、トマトはお盆頃には撤収が基本です。ナスも秋ナスの出来が悪くなり、秋分を過ぎる頃には小ぶりや形の悪い実が目立ち、収穫期間が短くなっています。
直(じか)まきの秋冬野菜は後ろ倒しで間に合う
一方で、暑さは必ずしも悪いことばかりではありません。秋冬野菜の「直まき」は、むしろ遅く始めても間に合うようになってきました。「秋の一日は春の七日」という格言は、今では少し事情が違います。従来よしとされてきた栽培暦と現実のズレも大きくなっていると感じます。
例えばニンジン。中間地(一般地)においては従来、7月まきが推奨されていましたが、お盆までにまいた場合、たいてい発芽が揃いません。手帳を見返すと、2025年は8月24日にまいたのがダメで、2週間後の9月7日にまき直しました。同じ日にまいたダイコンは9月21日にまき直しをしています。
2021年の記録を辿ると、ニンジンはお盆の頃、ダイコンは8月最終週のスタートで問題なかったので、明確に“まきどき”が後ろ倒しになっています。もちろん収穫時期も後ろ倒しになりますが、家庭菜園ならニンジンもダイコンも少しづつ収穫して食べたいので不都合なし。むしろ、もっとも熱中症リスクの高い時期に作業しなくて済むのはメリットと言えます。
またダイコンとニンジンは、エダマメを栽培していた畝に、エダマメを抜いた跡にそのまま直まきするという横着栽培を実践中です。両方とも5列タマネギマルチの穴に点まきして間引きしながら育てています。ニンジンは筋(すじ)まきするより間引きがウンと楽です。そしてエダマメについた根粒が栄養分をもたらしてくれるのでしょうか、出来は悪くありません。まあ、耕していないので多少のまた根はありますけどね。

タマネギ用の5穴黒マルチで点まきしたニンジン。株間が空いて大きく育ちます
ただし育苗は難しくなった
ニンジンやダイコンは楽になった一方で、ブロッコリーやキャベツ、ハクサイなどの移植野菜は難しくなりました。
私はカリフラワーが大好きでして、毎年50株以上を育苗しています。1株から1果しかとれないので、たくさん作ります。本来であれば9月上旬までに本葉2~3枚の苗を作って植えたいところ。しかしこれがうまくいきません。昨年の夏は7月下旬にタネまきし、黒の遮光ネットで覆い、乾燥させず、日陰に置いて、とあらゆる手を尽くすも一向に発芽せず。結局、8月下旬にもう一度タネまきし、こちらは順調に発芽したものの、植えつけできたのは秋分を過ぎた頃。年末に最初の1果がとれ、本格的に収穫できたのは1~2月にかけて。ブロッコリーも同様です。
ハクサイはもっと劇的な経過をたどりました。苗づくりはうまくいきましたが、植えつけた後の虫害が酷かった。防虫ネットを掛けていても、土に潜っている虫は防げません。暑くなったデメリットで見過ごせないのは、虫の活動時期が長くなったことでしょう。11月になってもモンシロチョウが飛んでいますもんね。そんなわけでハクサイは結球前に虫食いで全株がボロボロになりました。
ただし面白いことに、ハクサイは完全に失敗したわけではありません。別の野菜に植え替えるのも癪だし、ハクサイのとう立ち菜はスーパーでは滅多に出回らない絶品です。「とう立ち菜を待てばいいか」と、のんびり構えていたところ、新しい葉が次々に生えてなんと3月はじめに結球する株が現れました! 結球しなかった株からはとう立ち菜がたくさんとれたので、なんだかすごく得した気分です。
虫害がひどいのも、復活して結球したのも長引く高温の影響です。結局のところ、暑さを嘆くよりも、その変化をどう活かすかが大事なのかもしれません。

11月初めに虫食いだらけだったハクサイは、3月はじめにまさかの復活。片づけなくてよかった~
(2026年7月1日)
【プロフィール】
東京都心にあるマンションのベランダでミニトマトやルッコラを作るうち、栽培への興味が爆発。子どもが大きくなってきたこともあり、思い切って田園地帯へ移住した。畑のある暮らしに大満足しているが、難点は畑作業に割ける時間が足りないこと。月〜金は1時間20分の道のりを通勤してフルタイムで働き、週末に挽回するスタイルで畑を維持している。バイクに荷物を括りつけ、6〜10月は海釣り、11〜5月はキャンプもしたいので、段取りが命。
現在、借りている市民農園には30組の利用者がおり、第一線を退いて畑仕事に励んでいる様子を見るにつけ「早くあの人たちのようになりたい」と羨ましい。この連載では、畑デビューから10年がたち、今では無農薬・無化学肥料栽培で年に40品目を作るまでになった経験をもとに、勤めと両立するノウハウを中心にお伝えします。失敗談も恥ずかしげもなく披露しますので、どうぞご期待ください。(妻木)
