ブロッコリー

 

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①作物特性

ブロッコリーは明治初めに日本に導入されましたが、当初は定着しませんでした。その後食の洋風化が進んだこともあり、1965年頃になって全国的にも広く知られるようになりました。栄養価も高く、茹でてマヨネーズをつけるだけで手軽に食べられることや、中華、イタリアン、和食など、様々な調理に使える食材として急速に一般化した野菜と言えます。また最近では抗酸化作用のある野菜でガン予防に有効と報じられ、更に人気が出ています。営利栽培用の品種は中心の花蕾を1回収穫するだけの専用品種ですが、家庭菜園では長く収穫したいものですから中早生でわき花蕾も連続して収穫できる品種が適しています。比較的簡単に作れることや、お弁当のおかずや肉料理の付け合せなど、わずかでも利用したいときに重宝します。

②畑の準備

ブロッコリーは乾燥には強く過湿には弱いので、排水の良い畑を選んで作りましょう。また他のアブラナ科野菜との連作は避けましょう。畑にはあらかじめ1㎡当たり苦土石灰100g、堆肥3kg、化成肥料70gを施し、良く耕しておきます。幅120cm、うねの高さは15 cm位が適当ですが、排水の悪い畑では水はけが良くなるように少し高めにすると良いでしょう。

③タネまき~育苗:夏まきの場合

ポットにタネをまいて苗を育てます。30℃以上ではうまく発芽しません。夏の暑い時期のタネまきは避けましょう。発芽直径9cm位のポットに市販の育苗培土を8分目までつめ、深さ1cm位のまき穴をあけ、3~5粒ずつタネをまきます。土をかけて上から軽くおさえ、最初は散水用のジョウロなどでていねいに水をやります。ポットの底から水がしみ出てくれば充分です。

苗は日当たりの良い場所で育てます。本葉3枚頃までに生育の良い株を残して間引きをします。

連結ポットを使ってタネまきする場合、なるべく大きな植穴のもの(例えば5×5穴)を使いましょう。

④植えつけ

タネまきから約3週間後、本葉5枚目頃が植えつけの適期です。植えつけの間隔は、条間は60cm、株間は40~45cmとします。

深植えを避けてうね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。

植えつけは天気がよい日を選び、その後しっかりと水をやりましょう。

⑤管理作業

生育初期には、ハスモンヨトウやコナガ、ヨトウムシ、アオムシなどの害虫が発生します。食害は収穫の遅れや枯死の原因となりますので、農薬などを適切に使って防除することも必要です。

植えつけから約3週間後、株がしっかりしてきた頃に追肥をします。1㎡当たり化成肥料50gを株元に施し、除草を兼ねて中耕します。

⑥収穫

中心の花蕾が10~13cm位になったら収穫します。取り遅れると花蕾の形が崩れて美味しくなくなります。また腐敗しやすくなります。早めの収穫をお勧めします。収穫は花蕾の下あたりに包丁などを差込み切り取ります。

花蕾のすぐ下から10cm位までは茎もやわらかく食べられますので少し長めに切りましょう。

花蕾周りの葉を傷つけるとわき花蕾の発生が損なわれますので、注意しましょう。

中心の花蕾を収穫したあと、追肥をするとわき花蕾の収穫が楽しめます。1㎡当たり化成肥料50gを株周りに施します。しばらくするとわき花蕾が伸びてきますので、包丁やハサミなどで切り取って収穫します。

⑦スティックタイプの収穫

普通のブロッコリーと同様に育てますが、中心の花蕾が見えてきて4~5cmになったらそれを切り取ります。

摘み取り適期の状態。
なるべく小さいうちに、また天気の良い日に斜めに切り取ると切り口も早く乾き、病気の侵入も防げます。

切り取った状態。
こうすることでわき芽の発生が促されます。

わき芽が伸びて花蕾が2~3cmになったら茎を15~20cmつけて収穫します。

⑧その他の管理:春まきのブロッコリー栽培の注意点

ポットにタネをまいて温床での育苗が必要になります。約40~50日育苗し、本葉7枚程度の苗を作ります。暖かい所で育てた苗を植えつけの時にいきなり外の寒さや霜に当てると枯れてしまいますので、“馴化”と言って徐々に寒さに慣らすことが苗作りのポイントです。しっかり馴化した苗でマルチを張った畑に植えつけ、防寒用に不織布かビニールトンネルを掛けます。

その様な管理を怠り、株が充分に育ってない状態で低温にあたると小さな花蕾しかできず、すぐにゆるくなって花が咲き出します。このような現象を「ボトニング(早期出蕾)」と呼びます

ボトニングした株の様子。花蕾はかたく締まることなくバラバラしています。

春まき栽培では生育初期から低温状態ですので、しっかりとした株を作り、気温が低い場合は必ず保温資材等使って管理します。