キュウリ
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①作物特性
キュウリは一般的にはポットなどで苗を育ててから畑に移植します。その後、生育に応じて支柱やネットを用いて栽培する立ち栽培と地面に這わせる地這い栽培の2通りの栽培方法があります。菜園の広さなどから適当な方法を選びます。またキュウリは果実となる雌花が連続して咲く節成り型品種と、初めは雄花が多く咲きますが生育が進むにつれて雌花が多くなる枝成り型品種(飛び成り型品種とも呼ぶ場合があります)の2タイプがあります。節成り型品種は初期からキュウリが収穫でき短期間で楽しみたい人や初心者などに向きます。一方枝成り型品種は葉が充分茂ってから果実が成りますので、十分なスペースや枝摘みなど作業が必要ですが、長期間収穫できるのが特長です。畑の大きさやローテーションを考え、品種を選びましょう。ところでキュウリ栽培では、つるを連続的に伸ばしながら果実も実らせるため、適切な整枝管理が必要になってきます。枝摘み、葉かき、摘果など栽培のポイントを熟知すれば、長期間、美味しいキュウリを楽しむことができるでしょう。
②畑の準備
キュウリは、連作を嫌うのでなるべく輪作します。根が浅く張り酸性土壌を嫌いますので、畑作りの時に1㎡あたりたい肥3kgと苦土石灰100g、化成肥料を100g施し、約1〜1.2mの幅のうねを立てます。
③タネまき
直径9cm程度のポットに市販の育苗培土をつめ、深さ1cm程度にタネをまきます。タネは1ポットに3~4粒ずつまき、土をかけて上から軽くおさえ最初はしっかりと水をやります。日当たりの良い場所で育てましょう。
発芽したら、早めに間引いて生育の良いものを1株残します。苗を育てている期間中、水やりの時に一回程度、薄めの液肥をやると良いでしょう。
植えつけ適期の苗の状態。苗床でも株間を十分にとって、しっかりとした苗を作りことがポイントです。
④植えつけ
うねの高さは15~20cm位が最適です。雑草防除、地温確保と土壌水分保持のためにマルチをして栽培するとよいでしょう。キュウリの場合はアブラムシの飛来をできるだけ少なくするためにシルバーラインの入った黒マルチが特におすすめです。
本葉3〜4枚が植えつけ適期です。植えつけは暖かい晴れた風の弱い日に行いましょう。深植えを避けてうね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。
植えつけたら必ず30〜40cm位の仮支柱を立て、しっかりと固定して株元にたっぷりかん水します。
⑤枝成り型品種の整枝・誘引(当社の枝成り型品種:おいしさ一番星・きぬの輝き・ときわかぜみどり・夢みどり、霜知らず地這)
支柱を使った立ち栽培の場合、なるべく早く支柱を立てネットを張ります。仮支柱から慎重にネットに誘導し、ネットに絡ませてつるを伸ばしていきます。
1条植えの場合
2条植えの場合
株元から5節までに発生したわき芽や雌花は早めに取り除きます。はじめに伸びる親づるはネットの上のところ(1.8m弱)まで伸びたら摘心します。
この時あまり小さいうちから摘み取らないようにしましょう。親づるから発生した子づるは手でつかめる位に伸びた節の2〜3節で順次摘心し、子づるから発生する孫づるは1〜2節で摘心します。摘心は枝がまだ細くやわらかいうちなら手で摘み取ります。
収穫が始まったら、摘心のスピードを遅くして、1株で4〜5本の伸ばしたままの枝を残します。枝が勢いよく伸びるときは、順次伸びている枝を4〜5本残しながら芯を摘んでいきます
⑥節成り型品種の整枝・誘引(当社の節成り型品種:節成地這・みやのはた・早どり節成キュウリふしみどり・秋どりキュウリはやみどり)
株元から5節までに発生したわき芽や雌花は早めに取り除きます。はじめに伸びる親づるはネットの上のところ(1.8m弱)まで伸びたら摘心します。
この時あまり小さいうちから摘み取らないようにしましょう。親づるから発生した子づるは3〜4節で順摘心するか、数本そのまま伸ばします。子づるから発生する孫づるは芯をつまずにそのまま伸ばします。
収穫が始まったら、芯摘みのスピードを遅くして、1株で4~5本の伸ばしたままの枝を残します。収穫の中・後半より芯は摘まずに、枝を伸ばしたままにします。混んだ場合は葉かきをして、風通しを良くします。
⑦地這い栽培の場合の摘心のやり方(当社の地這い栽培に向く品種:節成地這みやのはた・霜知らず地這 きぬの輝き・おいしさ一番星)
地這栽培の場合はつるを伸ばす方向に敷きわらなどをします。株元から3~5節までに発生したわき芽や雌花は早めに取り除きます。はじめに伸びる親づるを7〜9節で摘心し、その親づるから発生した子づるを4本程度敷きわらの上に伸ばします。伸ばした子づるは畑の広さに応じて2〜2.5m位で芯を摘みます。子づるから発生する雌花がついた節から発生した孫づるは1〜2節で摘心します。
⑧追肥
1回目:親づるの雌花が開花した頃、1株あたり化成肥料で20gを株の周りに施します。
2回目:収穫が始まったら1株あたり化成肥料で20gを株の周りに施します。
3回目以降:以後、7〜10日間隔に1株あたり化成肥料で20gを株の周りに施します。これ以降は植物体の様子を見ながら、肥切れないように定期的に施します。
液肥での追肥も効果的です。なお雨水だけに頼ることなく、定期的に水やりを行うことは肥料の効きを良くする上で有効です。なお水をやる場合、気温の高い時間帯を避けて涼しい朝夕に行います。
⑨その他の管理
病虫害の防除:
キュウリは栽培期間が長いこともあり、病気の発生の多い野菜です。べと病やうどんこ病はいったん発生するとなかなか止まりません。またアブラムシはウイルス病の感染源です。生育初期から定期的に農薬などを適切に使って予防します。
葉かき:
親づるを摘心した頃、株元から5枚までの本葉を取り除きます。病気の葉や黄色くなった葉も早めに取り除きます。緑で元気な葉でも、それより下の葉や果実、伸びている子づるや孫づるの芯先への光を妨げることになりますから、1週間に2〜3枚程度を定期的に取り除きます。
摘果:
摘果とは雌花が開花して収穫までに雌花が曲がっていたり、尻が太くなった形の悪い果実を小さいうちに取り除くことを言います。株の勢いを回復させるには最適な管理方法の一つです。開花が終わってすぐの小さい時に取り除くことで、植物体の負担を軽減しキュウリを長期間栽培することができるようになります。
⑩収穫
果実は18cm以上になったら収穫できます。とり遅れると食味が落ちるだけでなく、株に負担がかかり、連続して果実が成りません。夏場はあっと言う間に大きくなりますから、毎日確認して、若干小さめでも収穫していくと株も長持ちして長期間収穫を楽しめます。もし株の勢いがなくなり、芯の伸びが弱くなった場合は、思い切って小さな果実まで収穫することをお勧めします。