スイカ

 

  • 文字サイズ

①作物特性

スイカはつるが長く伸びるので広い面積が必要です。畑が限られている場合、小玉スイカ(黄こだまメロゴールド、紅こだまサニーレッド、紅こだまラッセル)なら、支柱を立ててネットで誘引する立体栽培も可能です。スイカ栽培で良く聞く話は、まだ若いのに収穫して美味しくなかったという失敗です。充分に熟した果実を外見で見極めるのは難しいので、花が咲いた日を記録して開花後何日目かを確認できるようにすれば失敗は減るでしょう。

ところでスイカは連作障害のでる野菜のひとつです。特につる割病という急に萎れて枯れてしまう病気が発生するとその場所では少なくとも5年はスイカを作ることはできません。そこでプロのスイカ農家はユウガオに接ぎ木して回避していますが、接ぎ木は一般的には難しい技術です。しかし接ぎ木をしないで栽培したスイカのみずみずしさは格別です。

②畑の準備

畑にはあらかじめ1㎡当り堆肥2kgと苦土石灰100gを施し、よく耕しておきます。その後、植えつけ前に化成肥料を1㎡当り100gを施し、幅90cm、高さ15cm位のうねを立て、マルチを張ります。つるを伸ばす方向を決めてうねを作る必要があり、つるを伸ばす場所としてマルチの端から少なくとも2m位確保しておきます。

③タネまき

スイカは通常ポットで苗を育ててから畑に植えつけます。発芽適温は地面の温度で25〜30℃と比較的高いので、暖かくなってからタネはまきましょう。直径10〜12cmのポットに市販の育苗培土を8分目までつめ、深さ2cm位のまき穴をあけ、1ポットに2〜3粒ずつタネをまきます。

タネはポットに2〜3粒くらいが目安です。土をかけて上から軽くおさえ、日当たりの良い場所で育てましょう。発芽まで乾燥させないようにすることが大切です。

本葉が出たら生育の良いものを残して間引きをして、ポットに1株にします。

育苗中に肥料が切れることの無いように薄めの液体肥料を定期的にやると良いでしょう。

④植えつけ

本葉3〜4枚で植えつけます。株間は90cmが適当です。

深植えを避け、うね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。

天気がよく、風の弱い日に植えつけ、その後しっかりと水をやりましょう。

植えつけた後、遅霜の恐れがあるときはビニールトンネルやホットキャップなどを利用して保護しましょう。

⑤整枝・誘引

つるが伸びてきたら親づるの葉を5枚残してその先を摘心します。

その後、子づるが伸びてきますから、勢いの良い3〜4本を伸ばしていきます。つるがマルチからはみ出るまでに敷きわらなどをしておきましょう。

子づるから出る孫づるは早目に摘みとります。

⑥人工授粉

子づるの13〜20節に咲いた雌花に人工授粉します。普通16〜20節くらいに着果させると最も良い果実がとれます。人工授粉は早朝に行うのがポイントです。目的とする節位で雌花がいつ頃咲くか、毎日観察することが大事です。また人工授粉した日が分かるように日付ラベルをつけると収穫期の見極めに大変便利です。

⑦摘果

株当たりの着果数は小玉スイカの子づる4本仕立てなら3〜4果、大玉スイカの子づる4本仕立てなら2果が妥当です。着果しすぎた場合は、野球ボール大になる前に摘果します。もし摘果しないと、どれも大きくならない事態になってしまいます。

⑧追肥

着果したら1株当たり化成肥料50gをつる先に追肥します。

立ち栽培などの場合、マルチの裾をめくり肥料を施し軽く土を耕してマルチを元に戻します。

⑨その他の管理

果実の下の部分は光が当たりにくく、果皮色がつきにくいので10日間隔で果実を少しまわして光が当たるようにします。玉直しすると果皮の色だけでなく、果実内部の果肉の色もきれいに着色し、甘さも果実全体に行き渡ります。
地面に直接スイカ果実が当ると病気の原因にもなりますから玉直しのついでに果実マットを下に敷き、地面に直接当たらないようにします。

⑩収穫

小玉種では交配日から30~35日前後、大玉種では45日前後が収穫の目安です。授粉日を確認して収穫します。

収穫したら日の当たらない涼しい所に保存します。約1週間程度が限界ですが、なるべく早く食べるのが良いでしょう。