ひまわりコンサートベル®について

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はじめに

トーホクではいくつかのヒマワリ品種を開発しておりますが、今回はコンサートベルというたいへんユニークな品種を発表しましたので、その品種の特性や楽しみ方について詳しくご説明したいと思います。

特性1;ほぼ同時に360度全方向に向かって房状に開花

通常圧倒的な景観をつくるためにはヒマワリを集団で咲かせることになりますが、かなりの面積に相当数の株を植えないと圧倒的な景色にはなりません。

栃木県野木町のひまわりフェスティバル。一斉に咲いている様はまさに圧巻。

ただ残念なことに通常ヒマワリは東向きに咲きますので大輪の一輪咲きの場合、西側からは花の裏側しか見えません。

展望台から北方向に向いて東から西に180度のパノラマで撮影

一方コンサートベルは咲きだすと花数が多いことと、それらが360度全方向に向かって開花する特性から、どこから眺めてもヒマワリの花を楽しめます。

天花が咲いたあと約1週間後に側枝の花がほぼ一斉に開花します。花はいずれも花径10~15cmで側枝も短いためボリュームのある花姿を楽しむことができ、小面積でも活気にあふれた見応えのある花壇を演出できます。

また側枝が伸びず主茎に花が房状に集まっており、それぞれの花が垂れて下を向くことがないので最後まで気品を保って見飽きることのない花姿を楽しめる上、観賞期も一輪咲きの品種より1週間程度長くなります。

特性2;ワンカットでブーケにもなる切り花特性

花粉は全くない品種ですから切り花にも適します。全方向に向かって花が咲く特性はワンカットでブーケにもなるとしてフラワーアレンジメントの花材としても各方面から注目されています。

栽培方法

ヒマワリは日当たりと水はけの良い場所を好みます。花壇には多めの腐葉土と苦土石灰、少量の有機質肥料を施し深くまでよく耕しておきます。発芽適温は比較的高く25℃前後です。

一般的には4月の下旬から5月上旬にかけては気温も25℃近くになりますが、花壇に直接タネをまく場合は遅霜の心配もなくなる5月の中下旬以降が適当でしょう。生育適温は15~35℃ですから暑さには強いですが、生育後半の気温が下がることを考えると遅まきでも8月上旬が限界です。

開花までの日数、側枝の長さはタネをまく時期によって異なります。コンパクトで開花までの日数を短くするには、6月以降にタネをまくことをおすすめします。開花時期が遅いほどその傾向は強くなります。なお、開花まで日数は4月まきでは70~75日、7月まきでは60~65日となります。

草丈は花壇の栄養条件にもよりますが、1.5~1.8mになります。生育を旺盛にして茎を太く育てることが多くの花を咲かせるポイントです。プランターで栽培する場合は、根量が制限されるため花数はやや少なくなる傾向にあります。大きく、深いプランターをお使い頂けば複数の花をつけ楽しむことが十分可能です。

ポイント1;タネは花壇に直接まきましょう

花壇に直接タネをまくことが大きく育ててたくさんの花を咲かせるポイントです。1cmの深さに数粒ずつまき、しっかりと覆土します。タネまき後3~4日程度で発芽します。

(注意事項)
ポットで育苗することも可能です。特に春先の気温が低い時期にタネをまいて早くに咲かせたい場合、ポットにタネをまいて温度がとれる場所で苗を育てますが、根がポット全体にまわるような生育段階まで置くと植え痛みから株が小さなうちから花芽がついて多くの花も望めません。ヒマワリのような移植を嫌う植物の場合、ポットの根が軽く巻く程度の生育ステージ(9cmポットの場合タネまきから20日程度、本葉が2~3枚)で花壇に植えつけるようにしましょう。

ポイント2;大きく育てるためには株間を充分とりましょう

1株に多くの花を咲かせるポイントは生育を旺盛にして茎を太く育てることです。株間は30cm以上とやや広く取りましょう。

本葉4~5枚までに間引きして1カ所1株にします。

タネをまいてから約1カ月で蕾が見えてきます。

害虫が発生するようならこの時期に防除し、また大きめの雑草も除いておきます。

ポイント3;水不足にならないようしっかり水をやりましょう

露地の場合、通常かん水は不要ですが晴天が続くと葉が枯れて落ち始めますので、土が極端に乾くようなら定期的に株元にたっぷりと水をやります。

成長に伴って強風などで茎が倒れたり曲がったりする場合は支柱を立てます。

タネをまいて60~75日後、開花が始まります。

花は天花(一番花)が咲いてから約1週間で満開になります。

しっかりとした株を作っていれば10花以上は咲かせることができます。

ポイント4;一番花は早目に摘除

先端の花が咲き終わって早々に摘除すれば下の方まで咲き、より長く楽しめます。

各地での評価

コンサートベルは全国各地の公園などでも好評です。いくつかを紹介します。

北海道札幌市 百合が原公園

山形県鶴岡市 月山高原ベジパレット

兵庫県淡路島 淡路ファームパーク イングランドの丘

栃木県野木町 ひまわりフェスティバルにて

終わりに

コンサートベル ®は2021年にAASウィナーを受賞しました。AAS(All-American Selections:オールアメリカンセレクションズ・全米審査会)とは、 アメリカおよびカナダにおける40カ所以上の大学や植物園での試作栽培によって優良品種を選定し、一般園芸愛好家に紹介・普及を行っている非営利機関で、園芸業界では最も権威のある業界団体の一つです。

毎年世界の主要な種苗会社が競って新しい育成品種を出品しますので、「花のオリンピック」ともいわれています。世界的にもその素晴らしさが認められているひまわり品種コンサートベルを、皆さんぜひご自分で育ててみてはいかがでしょうか?。

他にもトーホクではいくつかのひまわり品種を扱っています。こちらも合わせてお楽しみください。