トウモロコシ
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作物特性
スィートコーンはトウモロコシの仲間のひとつで、栽培が容易で広い場所も必要ありませんので、手軽に楽しめる野菜です。しかし栽培にあたって注意しなくてはいけないのは、スイートコーンを栽培している畑の近くにデントコーンなど飼料用のトウモロコシが栽培されていて、それらの花粉が受粉するとスイートコーンの粒が硬くなり、甘みが低下することです。また、ホワイト系のスイートコーンの近くにイエロー系の品種やバイカラー品種が栽培されていると、白い部分の中に黄色の粒が混じった状態になります。このようなことを専門的にはキセニア現象といいますが、スイートコーン栽培では、このように近くに他の品種がないことを確認し、色々と種類を栽培するときはなるべく離してそれぞれはまとまるように畑の配置を考える必要があります。その他にはアワノメイガの発生と鳥による食害が栽培上の注意点です。
赤いトウモロコシが近くにあった場合のキセニア
畑の準備
お互いの花粉が充分かかり合えるよう、畑は細長くするのではなくてかためるように考えましょう。
植えつけの約2週間前には1㎡当り堆肥2kgと苦土石灰120gを施し、よく耕しておきます。その後、植えつけ前に化成肥料を1 ㎡あたり120g施し、幅90cmのうねを立てます。排水のよい畑での生育がよくなるので、深く耕すとよいでしょう。
雑草防除、地温確保と土壌水分保持のためにマルチをして栽培することをお勧めします。
タネまき:畑に直接タネをまく場合
1cmの深さに1ヶ所3~4粒タネをまき、土をかけて軽く鎮圧します。
タネを野鳥に食べられないように工夫して鳥避けをしましょう。
発芽して本葉3~4枚になったら、生育のよい株を残して1本に間引きます。間引きはハサミで地際部あたりを切り取ります。
よくある失敗の原因と対策
トウモロコシは地面の温度が低い春先にタネをまくと発芽不良を起こすことが良くあります。温度が不足すると発芽まで時間がかかり、その間に土の中に潜む腐敗菌によって病気に侵され地中で腐敗したり発芽後に立ち枯れることが原因です。発芽適温となるようタネまき時期を考え、マルチなどをして地温を確保します。
タネまき:苗を育てて植えつける場合
セルトレーや小さめのポットに市販の育苗培土を詰め、深さ2cm位のまき穴をあけタネをまきます。タネは1粒ずつまいて土をかけて上から軽くおさえます。日当たりの良い場所におき、防虫ネットなどをかけて鳥避けにすると良いでしょう。
タネまきから10日~2週間、本葉2枚で草丈10cm以下の苗を定植します。ポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、苗を植えつけます。植えつけた後はしっかりと水をやりましょう。
ポットで育てた苗を植えて栽培すると、十分な大きさの実ができない場合があります。本葉2枚、草丈10cm以下の植え付け適期を逃さないよう注意が必要です。
追肥・中耕・土寄せ
1回目の追肥は草丈40~50cm、葉数6~8枚の頃です。1㎡あたり化成肥料を40g施します。これは、大きな実をつける体をつくるための肥料です。この時うね間を軽く耕し、マルチをしていない場合は株元に土寄せを行います。
2回目の追肥は雄穂が出てきた頃、1㎡当たり化成肥料を40g施します。これは実を大きくするための肥料です。株元への土よせは、除草効果や根の発育を助け、追肥の効果を高めます。
その後の管理;株元から出る小さな枝はそのままでよい
スイートコーンは生育するにつれて、株元から小さな枝(分げつ)が発生してきます。
分げつは根の量を増やし、葉面積が多くなることから、実を大きくする働きがあります。また倒伏防止にも役立ちますので、分げつを除去する必要はありません。
雄穂が出始める頃からアワノメイガの発生が見られます。適切に農薬などを使って防除しましょう。
絹糸が出てからはしっかりと水管理
雌穂の絹糸が出てきてから収穫まで、土壌が乾燥しないように注意しましょう。乾燥している場合は必ず株元や通路などにかん水してください。
雌穂が肥大を始める前には釣り糸を張り巡らすなど、鳥による食害対策をしておきましょう。
花粉の出なくなった雄穂は早目に切り取る
雄花の開花が終わって花粉が散らなくなったら雄穂は切り取ります。
雄穂を切り取ることで風を受けて倒伏することの防止になります。またアワノメイガの被害を少なくすることにも役立ちます。
一番先に咲いた上から1番目の雌穂の他に、その下に咲いた雌穂を取り除く必要はありません。ただし、ヤングコーンを収穫したい場合はそれぞれの絹糸が出てから1~2週間以内に葉を傷つけないよう慎重に収穫します。
2番目以降の雌穂を除去すると1番目の穂がある程度大きくなりますが、除去する際に株を傷つけることが多く、逆効果になる可能性もあるのであえて雌穂を取り除く必要はありません。
収穫
スイートコーンは収穫が早すぎると糖度がのらずに甘みが足りません。一方、とり遅れると粒のしなびや糖度が低下します。収穫適期は受粉後20~25日後くらいで、絹糸が褐変した頃です。雌穂の先端の皮をむいて粒の色や大きさを確認してもよいでしょう。収穫後は数時間で糖度が低下します。採れたての味が格別ですが、すぐに食べないなら冷蔵庫で保存しましょう。