カボチャ
- 小
- 大
文字サイズ
①栽培特性
カボチャは土質をあまり選ばず根も良く張り、肥料を吸収する力も旺盛ですから栽培は比較的簡単です。一方畑に肥料分が残っている場合や、多めに肥料を施したりすると花が咲いても果実が着かないつるボケとなるので注意しましょう。美味しい実を成らすには適切な生育段階での着果と、後半まで健全なつるを維持することがポイントです。着果を確実にするには早朝の人工授粉は欠かせません。後半までのつるもちにはうどんこ病などの防除が決め手です。
カボチャはつるが伸びますので広い面積を必要とします。つるを地面に這わせる時にわらなどを使いますが、最近はホームセンターでも購入できます。また手に入らない場合は落ち葉でも良いでしょう。なお広い場所のない場合、栗美人のようなミニカボチャならプランターに支柱を立ててネットに誘引して実を成らせることもできます。
②畑の準備
植えつけの約2週間前には1㎡当り堆肥2kgと苦土石灰100gを施し、よく耕しておきます。その後、植え付け前に化成肥料を1㎡当り50g施しうねを立てます。
うね幅90cm、高さは15cm位が最適ですが、排水の悪い畑ではもう少し高いうねを立てるとよいでしょう。マルチを張ると雑草防除と地温確保、土壌水分保持に有効です。
つるを伸ばす方向を決めてうねを作る必要があり、つるを伸ばす場所としてマルチの端から少なくとも2m位のスペースは確保しておきます。
③タネまき・育苗
直接畑にタネをまくこともできますが、通常ポットにまいて苗を育てます。発芽適温は地面の温度で25〜30℃ですから、気温が充分でない場合はビニールトンネルなどで保温します。直径10〜12cmのポットに市販の育苗培土をつめ、深さ2cm位の深さにタネをまきます。
タネはポットに2〜3粒くらいが目安です。土をかけて上から軽くおさえ、最初はしっかり水をやります。苗は日当たりの良い場所で育てましょう。本葉が出たら間引きをして、ポットに1株にします。
育苗中に肥料が切れることの無いように薄めの液体肥料をやると良いでしょう。
④植えつけ
本葉3〜4枚の頃に植えつけます。株間は親づるだけを伸ばす栽培なら50cmで、子づるを2本伸ばすなら80cm〜1m位必要です。深植えを避けてうね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位に植え穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。
天気がよく、風の弱い日に植え付け、その後しっかりと水をやりましょう。植えつけた後、遅霜の恐れがあるときはホットキャップなどを利用します。
つるを伸ばしたい方向に向けてやり、マルチから出る前にわらなどを敷いておきましょう。
⑤整枝管理:親づる1本仕立ての場合
親づる1本仕立ての場合、親づるをそのまま伸ばし、親づるから出る子づるはすべて摘み取ります。8節目までに咲いた雌花は大きくなりません。また株全体も弱るので摘み取ります。9〜15節目に咲いた雌花に人工授粉させると最もよい果実がとれます。1番目の果実が着果した後は子づるの発生も弱まるので、それ以降発生する子づるは摘除せずそのままにします。
ひとつの果実を大きくするためには最低でも葉は20枚以上必要です。2番目以降も果実を成らせる場合の目安にし、無理な着果をさせないことが美味しいカボチャを成らせるポイントです。
⑥整枝管理:子づる2本仕立て場合
本葉4〜5枚で摘心して子づるを発生させます。力強い子づる2本を見極めて他の子づるは摘除します。この後は親づる1本仕立てと同様にその2本から発生するつる(この場合孫づると呼びますが)や雌花は8節までは全て摘み取り、9〜15節に咲いた雌花に着果させます。後は親づる1本仕立てと同様です。
⑦人工授粉
気温が低いと蜂などの働きが悪いので果実を確実に成らせるために人工交配を行います。同じ株で雌花と雄花が同日に開花しない場合もあるので、雄花は別の株から持ってきても全く問題はありません。雄花が不足することのないよう2株以上栽培するのが有効です。
人工交配は早朝に行うのがポイントで、雌花が咲くかどうか毎日観察することが大事です。
人工授粉した雌花には交配した日を忘れないように日付けラベルなどをつけておくと、その後の収穫期の見極めに便利です。
⑧追肥
1番目の果実が着果したら1株あたり化成肥料50gをつる先に追肥します。
⑨その他の管理
果実が大きくなってきたら果実の下にプラスチック製の果実用のお皿を敷きます。まんべんなく日光を当てることできれいに色づきます。ペットボトルの底を切って利用することもできます。
一方梅雨明け時など日差しが強い場合、果実の上に新聞紙などを載せて日よけにします。生育初期にはアブラムシが、果実が成りだす頃からはうどんこ病が発生しやすくなります。農薬などを適切に使って防除することが大事です。
⑩収穫
人工授粉してから45〜50日頃から収穫できます。収穫期が近くなると花梗部(ヘタの部分)がコルク化してきますので目安になります。
収穫したら風通しの良い日陰に最低7〜10日間置いて、ヘタの切り口を乾かします。貯蔵できる品種(銀河や栗美人)は1ヶ月以上たってから食べると甘みが増します。貯蔵できない品種(あずまえびすや栗みやこ)は1ヶ月以内に食べましょう。
⑪「ぐるめペコ」の作り方
つるを伸ばして栽培し、開花後5日前後の若い果実を収穫して利用するカボチャです。
果実はズッキーニの様ですが、ズッキーニより暑さによく耐え、うどんこ病にも強いので作りやすい野菜です。
栽培は通常のカボチャと同様に行います。親づるを本葉4~5枚で摘芯し、子づるを2本伸ばします。生育初期から雌花は咲いてきますが、雄花がないので肥大しません(開花前日の蕾を収穫して出荷するのも良いでしょう)。
10節目くらいから着果させます。開花から4~5日で10~15cmに肥大して収穫適期になります。とり遅れないように注意します。
上の写真の右側3本ように、果実表面の光沢がなくなったものはとり遅れで硬くなっています。とり遅れた果実が残っていると株が疲れ、その後の着果が減りますから見つけたら、できるだけ早く除去します。
プランターでも手軽に栽培できます。