トマト

 

  • 文字サイズ

①作物特性

トマトは十分な光と温暖な気候を好みますが、強烈な日差しや暑さには強くありません。また雨や多湿も苦手で病気や裂果の原因になります。通常タネまきから植えつけ時期の低温に対する注意が栽培のポイントですが、最近の異常な夏の暑さや大雨の襲来を考えると、収穫時期の夏にむけて高温や雨への対策も考え、栽培を工夫することも大切になっています。またトマトは葉が3枚ごとに花のかたまりである花房ができます。その花房は下から順番に第1花房(略して1段目)、第2花房(略して2段目)・・・・と呼びます。最初の花が咲く頃に植えつけますが、その時には既に4段目までの花芽ができています。通常5~6段までしか果実を成らせませんから、トマト栽培は苗作りが特に重要と言われる理由です。それでもしっかりとした苗が準備できれば、栽培は半分以上成功したようなものです。通常は立ち栽培ですから、面積もあまり必要としませんし、プランターなどでも楽しむことができます。

②畑の準備

トマトは連作を嫌います。同じナス科のナスやジャガイモ、ピーマンなどとの連作も避け、3~4年間隔をあけましょう。植えつけの2週間前には1m²当たり堆肥2kg、苦土石灰100gを施し良く耕しておきます。その後植えつけ前に化成肥料100gを施し、幅60cmのうねを立てます。うねの高さは15cm位が最適ですが、排水の悪い畑ではもう少し高いうねを立てると良いでしょう。

③タネまき・育苗

直径9~12cmのポットに市販の培土を入れ、深さ5mm程度のまき穴を少し離してあけ、タネを1粒ずつまきます。

上から土をかけ手で軽く押さえます。水をたっぷりかけ、発芽まで乾燥させないようにします。 発芽適温は20〜30℃です。

タネまき後5~7日程度で発芽します。日当たりの良いところに置き、がっちりとした苗に育てましょう。

本葉2~3枚の頃までに生育の良い株1本に間引きます。育苗中に肥料が切れることの無いように週に一度薄い液体肥料を施すと良いでしょう。生育に合わせて15cmのポットに鉢上げするのも有効です。

最初の花が咲いた頃が植えつけの適期です。大きくなりすぎた老化苗は植えつけ後の生育も良くないので注意しましょう。

④植えつけ

トマトは植えつけた後、スムーズに活着させることがその後の生育に大きく影響します。植えつけの10日前にはマルチを張って地温を十分に確保しておくことや、植えつけ前にポットにしっかり水をやっておくことがポイントです。また1~2段目の花が咲く頃は、まだ株に力がついていないので、晩霜に当たらないようにします。

生育初期の地温確保も大事ですが、近年は夏の高温対策で白マルチが有効とされています。植えつけの株間は40~50cmにします。深植えを避けてうね面と同じ高さになるようにポットがすっぽり入る位の穴をあけ、根鉢をくずさないように注意して植えます。また植えつけは晴天日を選び、活着まで水やりも欠かさないことも大事です。

トマトの花は同じ方向に向く性質があるので、植えつける時に最初に咲いている花を通路側に向けると収穫がしやすくなります。植えつけが終わったら倒れないように仮の支柱を立て、しっかり水をやります。

草丈が30cm位になったら、しっかりとした支柱を立て、中心の茎を支柱に結び付けます。花は通路側に向けたので、支柱は反対側に立てれば収穫し易くなります。茎は成長に伴い太くなりますから、ひもは数回ねじって少しゆとりを持たせてから結びましょう。その後は、20cm位の間隔で結ぶとよいでしょう。

株の両側に支柱を立て、テープで誘引するのも有効です。

病気の発生や、果実の皮が裂けてくる裂果を予防したり、甘さの向上を目的に雨よけビニル張ると良いでしょう。

⑤管理作業

わき芽は葉のつけ根から発生しますので全て取り除きます。通常自分の手の届く高さ(4~6段目)までを目安に収穫しますので、そこから葉を2~3枚残して摘心します。

大玉トマトの場合、果実の太りを良くするたに花房当たり3~6果に果実を制限すると残りの果実に栄養が充分いきわたり大きく美味しい果実なります。ピンポン玉の頃に先端についている色づきの悪い果実や形がいびつで小さいものから取り除いていくと良いでしょう。ミニトマトはその必要はありません。

わき芽は小さいうちは手で簡単に摘み取れますから、早目に見つけることが大事です。大きくなってしまえばハサミで切り取ります。

⑥追肥

追肥は、1段目の果実が肥大してきたら、1株当たり50gを追肥し、その後は2週間おきに施します。

果実が色づき始めると、野生動物に荒らされたり鳥が果実をついばむのでネットなどを利用して防護します。

⑦収穫

ヘタの部分まで十分に赤くなったら収穫できます。よく熟したものから順にハサミを使って収穫します。ヘタを長く残すと収穫した他の果実を傷つけますから短く切り詰めておくと良いでしょう。

⑧その他の管理

大玉トマトの場合はわき芽を早めに摘み取り中心の茎だけを伸ばす1本立てにしますが、ミニトマトの場合はわき芽を1本残して2本仕立てにすることができます。この場合、しっかりとした支柱をもう1本立てて誘引します。